バイク

大型バイクの免許は早いうちに取った方がいい理由。アンチハーレーだった僕を救ってくれたおじさんの話

僕はハーレー乗りが嫌い。

だった。

16で免許取得しバイク共に青春を過ごしてきた。

バイクに乗っているなら、いつかは僕もハーレーに乗ってみたい。そんな憧れは確かにあった。

大学生になってから本格的に「ツーリング」というものを楽しむようになり、気の合う友人達と学生という免罪符を片手に、講義をサボっては色んなところに行った。

 

道の駅やパーキング、観光地では様々なライダーたちと出会い、比較的好意的に接してくれた。

明らかな学生グループの県外ナンバー。きっと青春時代を投影していたんだと思う。なぜなら僕も今そんなグループを見ると昔を思い出し嬉しくなるからだ。

バイクってやっぱり楽しい!!

最初は不良っぽいからと、なんとも不純な動機で乗り始めたものだったが、どんどんバイクの世界にのめり込んで行った。

 

そんな僕にハーレー乗りが嫌いになる転機が起きた。

ある日どこかの道の駅でハーレーの集団と出会った。

ドドドッ、ドドドッ、ドドドッ…と特有の三拍子を奏で煌びやかなメッキを纏った大型のフォルム。身体が震えるような音圧に圧倒され心奪われた。

 

「かっけぇ…やっぱいつかはこうやってハーレー乗ってみたいわぁ…」

気付いたらそんな言葉が漏れていた。

相手もそんな姿が目に入ったのだろう。

「○○県から来たの!?ずいぶ遠くから来てるねぇ!学生さんかい?」

よくある他愛のない話だ。ライダー同士で話を咲かしていると、一人にこう言われた。

 

「でも何で中型なんか乗ってるの?」

え…?

「やっぱりバイク好きなら大型乗りなよ!いいよ!大型は!ハーレー乗ったら病みつきだよ!俺なら中型で○○県からは来れないよw」

他意はなかったんだと思う。純粋に旅をするならハーレーみたいなバイクもあるよ。大型は高速巡行も楽だよと教えてくれたんだと思う。

でも僕には

「なんで中型なんか乗ってるの?」という言葉がどうしても引っかかった。

頑張ってバイトして買ったバイク。自分は好きで乗っていたのだ。とても見下されたように思えて仕方がなかった…悔しかった。

 

あとの会話は覚えていない。ただその時に感じた感情は30代になった今でも鮮明に覚えている。

それからというもの、大型バイクの集団に会うと

またバカにされるんじゃないか…と構えるようになってしまった。でもそんな考えは一部の人だけで何度もあることじゃない。あの時だって見下すつもりはなかったんだろう!

 

そう思っていたのに。

 

二度あることは三度あるとはよく言ったもので、それからしばらくは排気量マウントを取られるような事はなかったが、また同じような場面に遭遇した。

たまたま偶然なのはわかっている。でもまたハーレー乗りだったのだ。

「中型って何が楽しいの?大型免許取ればいいじゃん!中途半端じゃない?」

「中型乗ったことないんですか?」

「おじさんはハーレーが憧れだったからね!ハーレーしか知らないから中型って楽しいのかなって!」

 

なんだそれ。乗ったこともないの中途半端ってそんな言い方ねぇだろう。

 

正直頭にきた。でも僕も大型に乗ったことがない。大型の魅力と比較出来ないし、悪意を持って言ってる感じじゃなかった。

純粋に疑問だったんだろう。子供が空気を読まず、どストレートに質問してしまうような。

「車検もないし高速乗れるし、僕には2半でも十分なくらい楽しいですよ」

そう答えるのが精一杯だった。

「へぇ~そうなんだ!でもいつかはハーレー乗ってみな!バイク好きならね!」

 

ぜってぇ乗らねぇ!乗ってやるもんか!

ハーレーアンチが誕生した瞬間だった。

 

当時はまだ若かった。今なら悪意じゃないことはわかる。でも学生だった僕にとっては、またハーレー乗りかよと思わざるを得なかった。

そして二度あることは三度あると言ったように、もう一度排気量マウントを取られるのである。奇しくもハーレー乗りに。

内容は大した差はない。なんで中型なの?大型はいいよ!って話だ。

3回目はもうウンザリしていた。

「あー大型っすか?金があればいつかは取りたいと思ってますよ。」

もうあっちに言ってくれ。大型バイクのどこが魅力なんだよ。

ハーレーなんて成金のバイク好きが乗るものじゃない。見た目だけで本当のバイク好きはハーレーなんか乗らない!

どんどんアンチを拗らせていった。

 

だが今僕は大型自動二輪のバイクを持っている。それも学生のうちに無理をして、みんなが車の免許を取得しにいく中、大型自動二輪の免許を取得したのだ。

冒頭で僕はハーレー乗りが嫌い。そう書いた。

そんな僕に大型バイクの免許を取る決意を与えたくれたのも、たった一人のハーレー乗りだった。

 

ある日、いつものようにツーリングに出掛け、道の駅で休憩していた時、そのハーレー乗りのおじさんは現れた。

ハーレーアンチを拗らせていた僕は、

ハーレー乗り=成金排気量マウントおじさん

という脳内公式が完璧に成り立っていたので、ハーレーが隣に駐車してくるだけで嫌だった。

 

(んだよ。またハーレー乗りおじさんかよ。空いてるところあるんだから、俺の隣にくんな。)

今思っても相当拗らせている。

おじさんも何かを察したようで、チラチラ見られる感じがした。

 

(何チラチラ見てんだよ。バカにしてんのか?ムカつくんだよ…)

「そのバイクは何て言うバイクなの?」

(はぁ…うぜぇ…)

「ホンダのJADE(ジェイド)って250㏄ですけど。ナンスか!?」

「ごめんね。おじさん、ハーレーしか乗ったことがないから、他のバイクって全然わらかなくてね。

でも君みたいな若い子がバイクを維持するって事が大変なことはわかるよ。大切にしている。それを見てなんだか羨ましくて話かけちゃった。お邪魔だったかな?」

羨ましい…?なんで?

苦笑いをしているおじさんは、とても紳士的な人だった。

 

「別に邪魔じゃないっすけど。それに特別大切にしてないです。今日はたまたま洗車してキレイなだけです。もっと大切にしている人はたくさんいます。」

事実だ。僕はたまたま洗車しただけで、洗車頻度も低いし、とにかく乗り回していたので、いたる所がボロボロだった。

「でも遠くから来ている。そうとう色んなところに行ってるんじゃない?」

適当に相槌をしてして離れようとした時

「大型免許は取らないのかい?」

 

(コイツもか…!物腰は柔らかくても、やっぱりコイツも結局同じか!!)

 

「大型に欲しいバイクないんで!大型に魅力的なバイクがあれば取るんじゃないっすかね!!」

嘘を付いた。本当はCBR600RRがずっと欲しかった。でも自分にはお金もない、大型は社会人になってからでいい。今でも十分バイクを楽しんでいるし!

そんな風に自分を誤魔化して、大型免許を取らない理由を作っていた。

 

「そうなんだ。それなら尚更、学生のうちに大型免許を取った方がいい。おじさんはね、ずっとハーレーが憧れだった。」

「バイクに憧れて、中でもハーレーだった。いつかは乗ろうと思っていたけれど、そう思っていたらもうすぐ還暦になってしまったよ。社会人はお金はあるけれど、時間がない。おじさんは免許すら持っていなかったからね。」

おじさんはどこか寂し気に語り始めた。なんだから引き込まれるように話を聞き始める自分がいた。

 

「買うお金はあるのに、免許がなければ乗りたいと思っても乗れない。おじさんくらいになると、家族の理解をもらうところから始めることになる。免許さえ持っていれば買っちゃうって強硬手段もできたのにね」

「何度も妻を説得してね。ちょうど息子が君より少し大きくなったくらいかな?やっとOKが出てね。教習所に通って最近このハーレーを買ったんだ。中古だけどね。」

そう語りながらハーレーを眺めるおじさんからは、とても大切してしていることが伝わってきた。

 

「学生のうちはお金がないかもしれない。でも免許代なら少しバイトを頑張れば払えない額じゃないだろう?

「今は大型に欲しいバイクがなくても、免許さえ持っていれば、この先乗りたい!って思った時にポンと買うことも出来る。」

「だから君が羨ましい。おじさんも君くらいの時からバイクで出かけたかった。せめて免許さえ持っていればと何度も思ったよ。バイク、好きなんでしょう?」

「だったら尚更、学生にうちに大型免許を取った方がいい。車の免許は欲しくなくても取らざるを得ないんだから、勝手に取りに行くよ。」

「でも大型免許は取りに行く意志がなければ絶対に行かない。社会人になるほど、意に反してそうなってしまう。」

相当大変だったんだなと、学生の自分にすらわかった。そして…

 

「もしかしたら、ハーレー。乗りたいって思う時が来るかもしれないよ?」

 

苦笑いするおじさんからは優しさが滲みでていた。僕がつっけんどんな態度だから最初からわかっていたんだろう。

「大型免許。絶対取ります。」

自然と答えていた。

「おじさんの話を聞いてくれてありがとう。それじゃあ気をつけてね。」

 

そう言っておじさんはハーレーに跨り、颯爽と行ってしまった。中古車のフルノーマルのハーレーからは、身体を振るわるような音圧も、煌びやかなメッキもなかった。

けれども、僕には一番素敵な「大人」に見えた。そしてそんな人が跨ってるバイクだからこそ輝いて見えた。

 

その時僕は気付くことが出来た。バイクをカッコよくするのは乗り手なんだと。ハーレー乗りを一つに括って見てた自分が恥ずかしくなった。

それからはハーレーを見るといつもそのおじさんを思い出す。もう以前のようにはならなくなった。

 

その後僕は車の免許代に貯めていた貯金をすぐに大型免許代にあてた。

欲しかったCBR600RRも鬼のようにバイトして買った。けれど乗りこなせない自分がいて、さらに就職し乗る時間が激減した。

なんだかバイクが可哀そうになり売却し、しばらくバイクから離れることになった。

 

そこからリターンライダーになったけれど買ったバイクは250㏄だった。

扱いやすくて、車検もない。何よりも乗り切れている感じがとても魅力的だったからだ。

 

ある日また言われた。

「なんで中型乗ってるの?大型は?」と

だから僕は笑顔でこう答えた

「大型免許も持ってるんですけど、色々乗って自分には250㏄が一番楽しいって思ったんです。」と。

 

そこからバイクってやっぱり楽しいなと思っていたけれど、パワーを使い切るような走りから、もっと旅をしやすいバイクが欲しいと思うようになり

行き着いた先がロイヤルエンフィールドという何とも珍しいバイクだった。

 

けれども、エンフィを買うギリギリまで迷っていたもの

それはハーレーダビッドソンだった。

「もしかしたら、ハーレー。乗りたくなるかもよ?」

 

おじさんの優しい声が頭の中で何度も思い出された。きっとあの出会いがなければ、選択肢にすらなかっただろう。

なによりも、大型免許を取得していなかったと思う。

学生のうちに大型免許を取得して心の底から良かったと思っている。

だからこそ、時間のあるうちに免許は取った方がいいと、僕は少しでも多くの人に伝えたい。

終わりに

Twitterで小柄な女性がバイクを乗ることに、心ない言葉を発する人がいたり、排気量マウントされて嫌な気持ちになった人たちのツイートとかを見て、自分が受けた経験を思い出しました。

排気量マウントに関しては、言ってる側は案外悪気はないと今は思ってます。それでも、その何の気なしに言った言葉が、大型バイクから余計に離れさせてしまう。

事実僕みたいな将来のハーレーユーザーが一人減っているわけですし。

幸い僕は、良き出会いもありアンチから抜け出すことが出来ましたが、拗らせたら何かキッカケがない限り戻ってくることはありません。

 

バイクを良く見せるのは乗り手次第。免許なんてなくても生活に困りません。

けれでも少しでも多くの人が大型免許を取り、バイク人口が増えて業界が盛り上がってくれることが、なにより我々ユーザー側に還元してくることだと思います。

バイクの免許を欲しいと思っている人や、迷っていた人へ少しでも後押し出来たらと思い記事にさせていただきました。

 

こんな駄文に最後まで目を通していただきありがとうございます。

あなたに素敵なバイクライフが訪れますように!